研究概要 |
本研究は集塵機内の混相流動機構及びバグフィルタ磨耗機構を解明し,これに基にして集塵装置の最適設計とフィルタの寿命が科学的にできるようにすることを目的に行った. 高速粉流体の流体衝突角度と単繊維摩耗量との関係を調べ,考察の結果,エロージョン摩耗によることが判明した。摩耗と関係する因子を整理し相関式を求めた。衝突角度30度,45度の低角度のものが他の高角度のものに比べると摩耗量に関係する破壊荷重の低下が著しいことがわかった。ついで実際のフィルタ繊維を通過する流体の流れ様相と粉塵粒子のフィルタ衝突角度および速度の統計的分布についてPIV(Particle Image Velocimetry)を使って計測した。バグフィルタは集塵機を模した小型混相流体の流動観察装置に取り付けた。バグフィルタが支持板に接触している表面では粒子が多く跳ね返っていることが分かった。メッシュの小さいフィルタは容易に目つまりを起こし,目つまりが始まると衝突角の小さい粒子は目つまりをしていない孔に向かって加速されて通過することが分かった。このような粒子が多いところではアブレーシブエロージョン摩耗が促進されることも判明した。 粉塵粒子がバグフィルタに衝突する角度は必ずしも排ガス主流とは一致せずあらゆる角度で衝突している。排ガス主流に対してバグフィルタ表面はあらゆる傾き角度を持つわけであるが,その傾き角(設置角α)の違いが粒子のフィルタ衝突角度頻度分布に影響する。摩耗に寄与する衝突角の粒子数が最大になる場合はバグフィルタ表面がどのような設置角度を持っているときかを詳しく調べた。 その結果,設置角が45度のとき衝突角が45度より浅い角度の衝突粒子が多くあり,アブレーション摩耗が起こりやすいことが分かった。 さらに粉塵を含んだフィルタの正確な摩耗量が必要であったが,磁性粉体を導入し,飽和磁化量を測ることによって摩耗量を的確に求められる新しい計測法を提案し,確認実験をした.ショットピーニング装置を用いポリイミド,耐熱ナイロンのバグフィルタの摩耗試験を行った結果,ポリイミドの方が集塵効率が高いことがわかった.強磁性体粒子の一つである純鉄を用いてバグフィルタの摩耗量を測定することに成功した.
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