研究概要 |
本研究は,光触媒の超親水性を利用して,気液相変化系で優れた性能を有する伝熱面の開発を目的とする. 本年度は,次の項目についての検討を行った. (1)プラズマ照射による照射時間と接触角の関係を銅,アルミ,ステンレスについて詳細に調べた. (2)高温面上の液滴の蒸発に及ぼすプラズマ照射の影響を詳細に調べた. (3)アルミ表面のプラズマ処理による改質と接触角の変化を測定した. その結果,(1)についてはアルミの親水化がもっとも顕著であり,次いでステンレス,銅の順に接触角が低下した.疎水化過程における特性も同様であった.(2)について蒸発時間を測定したところ,接触角が小さいほど蒸発時間が短く,超親水性の効果により伝熱が促進されることが判明した.また,濡れ限界温度を調べたところ,接触角が小さくなるほど濡れ限界温度は上昇し,最大20K以上の差がでることがわかった. (3)のプラズマ改質により作製したアルミ表面はフラクタルな構造を有しており,初期状態では拡張濡れを呈する.ところが,時間の変化とともに接触角が上昇し150°以上の超撥水状態になることが分かった.超撥水状態でプラズマを照射すると再び拡張濡れまで親水化が回復する.この超親水-超撥水スイッチング現象は極めて興味深い性質であるが,現時点で原因が不明でありメカニズムを調査中である.
|