研究概要 |
本研究は,光触媒の超親水性を利用して,気液相変化系で優れた性能を有する伝熱面の開発を目的とする. 本年度は,アルミニウムおよび銅について,接触角0°〜170°の超親水から超撥水までの伝熱面を準備し,高温面上の液滴の蒸発に及ぼす濡れ性の影響を詳細に調べた.濡れ性の制御方法としてはプラズマ照射による接触角の低下^<(2)>,表面粗さによる接触角の変化,濡れ性が超撥水性である表面メッキの3種類を単独,あるいは組み合わせることによって実現している.表面仕上げ,プラズマ照射の有無と照射時間,表面メッキの有無を示した.接触角約0 degの拡張濡れ表面はアルミニウム改質面特有のものであり,それ以外はアルミニウム・銅に関して共通である.表面粗さはMirror仕上げと研磨紙#600で研磨したものがある.接触角110 degの表面は,超撥水メッキ表面を金属磨料で研磨したものである.接触角が90 degを越える試料は表面メッキを施しており,その膜厚10μm程度である. 液滴蒸発実験により,以下の項目が明らかになった. (1)最低表面温度50℃のときの蒸発時間は接触角に依存し,接触角の低下によりアルミニウムの場合は約1/12〜1/15に,銅の場合は1/4〜1/5に短縮されていおり,超親水性の効果により伝熱が促進される. (2)濡れ限界温度を調べたところ,接触角が小さくなるほど濡れ限界温度は上昇し,接触角が小さいほど濡れ限界温度は高くなる傾向を示す.アルミニウムの濡れ限界温度は最低約115℃,最高約160〜170℃であり45K〜50Kほど上昇した.銅では最低約115℃,最高約160℃であり45Kほど上昇した.
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