研究概要 |
ハーフゾーン液柱内温度差マランゴニ対流場の能動的制御に関する実験及び数値計算を行った.シリコーンオイル液柱を上部(加熱)及び下部(冷却)ディスク間に形成して,液柱両端面間に温度差を実現し,温度差表面張力対流場を発生させる.ディスク間温度差が閾値を越えた際に生起する3次元非定常流(振動流)場において,自由表面上の温度変動を計測し,その変動を打ち消す形で線形フィードバックにより微小な熱入力を行い,対流場の抑制制御を実現する. 実験においては,(1)1対および2対のセンサ/ヒータによるフィードバック抑制制御,(2)2対のセンサ/ヒータによるフィードバック励起制御を行った.実験(1)において,臨界温度差の約1.8倍に及ぶ非線形領域までを対象とし,2対のセンサ/ヒータを用いて,臨界温度差の約1.4倍までの対流場の完全な抑制制御を実現した.実験(2)では,自由表面上の温度差を逆に励起するアルゴリズムを用いて,脈動振動流を呈する対流場において,ディスク間温度差を一定に保ちつつ回転振動流を励起し,さらにその回転方向を自在に制御しうるアルゴリズムを実現した. 数値計算においては,実験(1)に相当する数値解析コードを開発し,1対および2対のセンサ/ヒータを用いた制御を実現した.1対による制御では,実験と同様,ディスク間温度差一定の状態において,回転振動流を脈動振動流に抑制した.2対制御においては,ある程度までは抑制が可能であるが,別の周方向波数(モード数)を励起することを明らかにした. 以上の結果に関し,第34回COSPAR,第55回アメリカ物理学会流体部門年次大会等において成果を発表した.
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