研究概要 |
温度差マランゴニ効果によってハーフゾーン液柱内生起する対流場の能動的制御に関する実験及び数値計算を行った.シリコーンオイルを試験流体とし,液柱を上部(加熱)及び下部(冷却)ディスク間に形成して,液柱両端面間に温度差を実現し,温度差表面張力対流場を発生させる.ディスク間温度差が閾値を越えた際に生起する3次元非定常流(振動流)場において,自由表面上の温度変動を数点計測し,その時系列データをもとにフィードバック制御を行う. 実験における今年度の主な成果は,(1)センサにより取得した表面温度時系列データから,ある高さにおける表面全周温度場を再構築するアルゴリズムの構築,(2)赤外線レーザによる非接触フィードバック制御の実現である.成果(1)について:従来のアルゴリズムでは強非線形対流場における当該制御によって異なるモード構造を励起してしまっていたが,本アルゴリズムの開発により,対象とする構造以外のものを励起することなく,従来のものよりもより高い抑制率を実現した.また,成果(2)では,自由表面上の温度差を従来の電気加熱ではなく,レーザを用いた非接触加熱を実現した.本成果を出すにあたって新たな光学系を導入し,より柔軟性を含む制御装置系の構築を行った. 数値計算においては,(1)よりプラントル数の高い流体における制御を実現しうるコードの開発,また,(2)より強非線形場の制御を実現しうるコードを開発した.これらにより,プラントル数による制御効率,抑制メカニズムの相違に関する解析を実現し,また,実験との比較を可能とした.さらに,実験では観測不可能な対流場に関する解析を行った. 以上の結果に関し,国内学会にてのべ10件,国際学会にてのべ4回,成果を発表した.
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