研究概要 |
本研究では熱電駆動型形状記憶合金運動素子を用いて、従来のものより軽量かつ早い応答特性を有する新たなマニピュレータシステムを開発するのを目標としている。平成15年度は提案した形状記憶合金の変態に伴う回復力のモデルを実験的な考察により検証・改良を行った。また、マニピュレータの熱・機械的な応答特性について評価し、温度制御による変形量の制御が可能であることを示した。平成16年度では、形状記憶合金の回復力モデルの精度を上げるとともに、数値解析による熱・機械的挙動をシミュレーションし、熱電駆動型形状記憶合金マニピュレータの設計を行った。具体的には以下の内容を実施した。 さまざまな温度、拘束条件下での形状記憶合金の変態に伴う回復力に関する実験的な評価を行い、提案した回復力に関する熱・力学モデルを検証し、精度を上げるための改良を行ったSMAの複合的現象をともなうSMAの変態挙動を表現するためにそれぞれ独立した分率を定義したモデルを提案し,その数値解析結果は,実験結果とよく似た傾向を得ることができた.この結果から,このモデルの妥当性が検証できたといえる。また,このモデルを用いたSMAの温度環境と負荷が同時に変化したときの挙動の予測が可能になり,SMAの応用において有用であると考える。また、温度制御による形状記憶合金マニピュレータの力学出力の制御の検討を行った。数値解析による熱・機械的挙動をシミュレーションは、今後の形状記憶合金マニピュレータの設計に知見を与えた。
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