本年度においては、ノンホロノミックロボットに対して、移動体群を指定形状の編隊形態へ遷移させることと環境中障害物回避を行うことを両立するアルゴリズムを構築した。これらについて、車両群に対する実機実験システムによる実証実験および潜水艦(3次元移動体)群による障害物回避シミュレーションを行い、有効性を実証した。 ノンホロノミック拘束を受ける車両群の編隊形成における環境中の静止障害物回避問題に対し、計算幾何学におけるドロネー三角形分割を導入した誘導・編隊形成・障害物回避アルゴリズムを構築した。特徴的な点は、車両群に対して幾何学的な編隊形状を指定・実現可能なアルゴリズムおよび匿名性を持って障害物回避のための編隊解除・再形成を実現する点である。具体的には、目標編隊形状と、ある時点での車両配置について、その幾何的配置に応じて凸包と角度選択を用いたハミルトングラフ生成手法を構築し、これによって目標編隊形状達成のための平衡点を各車両が決定することで、特定の情報(車両のID番号など)に依存せず、状況に適応した編隊形成・解除を可能とした。これについて、6台の小型移動ロボットから成る実機実験システムを構築し、目標とする指定形状の編隊形成が可能であること、また車両群が編隊を維持した状態では通過困難な狭雑環境において適応的に状態を変化させて通過を行い、かつその後に編隊形態に復帰することが可能であることを実証した。 また、3次元ノンホロノミック移動体である潜水艦群について、計算幾何学におけるドロネー線図を用いて衝突回避対象を算出し、適切に編隊形状を遷移させるアルゴリズムを構築し、シミュレーションにより有効性を検証した。これらの成果により、ノンホロノミック拘束を受ける車両(移動体)群に対する編隊形成および環境形状に適応した移動を実現する制御アルゴリズムが実現された。
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