研究概要 |
本研究では,構造/流体/制御の複合領域設計法という設計概念に基づき,マイクロ飛行機(Micro Air Vehicle ; MAV)の設計手法および基礎実験装置の開発を行った.MAVにおいて,小型化にともなう構造/流体/制御の特性干渉は無視することができない.本研究では,MAVのさらなる小型化・軽量化および低速飛行を達成すべく,その第一段階として,構造特性/流体力学特性を位置付ける機体形状と制御系を同時に最適化する手法を提案した.まず,機体形状に基づく機体の構造特性と流体特性を表す安定微係数によりMAVをモデル化した.次に,H_2仕様に基づく制御系の設計概念示し,MAVの形状と制御性能および制御エネルギーの関係を調べた.さらに,機体の小型化,制御性能の向上および制御エネルギーの低減という観点から,同時最適化問題を定義し,それを解くことにより最適な機体形状および制御系を設計した.ここで,出力フィードバック系に対する同時最適化の計算効率を向上させるために,状態フィードバックによる機体形状設計とLMIによる動的補償器設計に基づく2ステップアルゴリズムを採用した.さまざまな条件で同時最適化を実行し,機体形状,制御性能および制御エネルギーの関係を調べると同時に,本手法の有効性を検証した.次に,レーザー推進を利用したマイクロ飛行機の基礎実験装置を開発した.その中で,マイクロ飛行機の持続的飛行を実現するために,ガルバノミラー制御によりレーザーをマイクロ飛行機に追従させるレーザー追尾システム,および形状記憶合金と光トランジスタにより構成されるスマート翼を開発し,実験による基本特性の評価および有効性の検証を行った.
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