研究概要 |
本研究では,構造/流体/制御の複合領域設計法により,マイクロ飛行機(Micro Air Vehicle ; MAV)の要素技術の開発ならびに基礎実験を行った.まず,レーザー推進技術を応用したマイクロ飛行機の持続的飛行を可能とすべく,統合レーザー推進/追尾システムの開発を行った.本システムでは,推進用のYAGレーザーと追尾用のHe-Neレーザーを同軸2重のビームとしてマイクロ飛行機に照射し,He-Neレーザーの反射光から照射方向の偏差を測り,光路上にあるガルバノミラーの動きを制御する.これにより,レーザーが常にマイクロ飛行機に照射され,持続的飛行が可能になる.実験により,本システムの基本特性を調べ,性能を評価した結果,所望の性能を達成し,移動物体上でYAGレーザーによるアブレーションを連続的に起こさせることに成功した.また,YAGレーザーによる推進力を効果的に生じさせるために,レーザー推進機構の最適化を行い,より高い推力の達成が実現された.さらに,レーザーによる遠隔操作を可能にするために,偏光された2つのHe-Neレーザーを用いた遠隔制御システムを構築した.本システムでは,お互いに直角な偏光He-Neレーザーを同軸2重のビームとしてマイクロ飛行機に照射し,マイクロ飛行機上で偏光ビームスプリッタにより2つのビームに分離され,一方をレーザー追尾に,他方をレーザー制御に用いる.レーザー制御用のビームは光源側に設置された液晶シャッターによりオンオフ信号として照射され,マイクロ飛行機上のフォトトランジスタでその信号を受信する.これにより,アクチュエータに入力される信号が制御され,移動物体の遠隔操作が可能になる.そして,基礎実験装置を用いて移動物体の運動を遠隔操作する実験を行い,遠隔制御システムの性能を評価し,本システムの有効性を検証した.
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