研究概要 |
平成14年度と15年度で、レール加振装置、車両床・側板パネル系および車上設置型デバイス1基を実際に設計・作製して実験室レベルの実験を実施し、実際に波動吸収制御のコンセプトによる能動的消音制御法の有効性を基本的には確認した。しかし、実験室レベルの装置のため大音量ランダムノイズ騒音源を実現する事は難しく、近距離での騒音低減効果を検証したに止まった。そこで今年度は主として、在来線鉄道の環境騒音低減化の観点から、二次元境界要素法に基づくシミュレーション手法により、列車から4〜5m離れた位置での騒音低減効果の検討を行った。以下得られた知見を記述する。 1.「二次元境界要素法による提案した能動的消音制御法コンセプトの妥当性の確認」 一次騒音源模擬境界,二次音源境界,二次音源波導波境界面、軌道面および車両側板パネル境界面からなる解析モデルを一定要素で分割して、600,800,1000Hzの場合について、スラブ軌道とバラスト軌道の両方を模擬した軌道境界条件の下で、二次元境界要素法に基づく消音制御シミュレーション解析を行い、いずれの軌道の場合でも騒音源の下流側の4m程度までの全領域で騒音を静音化出来る事を確認した。 2.「実車両系の転動音と継目衝撃音の放射音特性の理論的・実験的把握」 能動的消音制御実験は断片的に報告されている転動音の放射音特性データに基づいて実施したが、実車両系での転動音さらには殆ど報告例の無い継目衝撃音の放射音特性を正確に把握するために、転動音については車輪/レール連成系の振動解析結果を境界条件とする3次元境界要素法によって音響放射パワーに与える車輪とレールの寄与率を正確に計算して、今後の実験のための知見を得た。また、継目衝撃音については、実際の現象がやや不確定要素を含むことから、東急目黒線等の実車両走行時の衝撃音を実測し、その特性を分析・解析して、提案したコンセプトに基づくデバイスにより、継目衝撃音を実際に能動的に消音制御するための方策について検討を行った。
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