本研究の目的はコロイダルダンパを設計し、理論的アイデアを製品として実現することである。そのために、多孔質材料のエネルギ消散特性を調べることが重要であり、静的実験装置の設計製作をし、実験を行った。静的実験装置を用いて、コロイダルダンパに適した効率の良い多孔質材料を実験的に見つけ出し、疎水性多孔質材料の改良を行った。その結果以前に比べてn回目のヒステリシスは1回目の92〜93%と、耐久性で疎水性処理を向上させることができ、さらに、エンドキャッピングの影響及び最適な疎水性処理の分子の長さとシリカゲルの細孔直径の関係を明らかにした。この結果は次年度のベルギーの国際会議で発表する予定である[6]。 次に動特性実験装置としてシングルおよびダブルコロイダルダンパを製作し、それらを用いて設計パラメータの影響を明らかにし、その結果は昨年の米国で開催の国際会議で発表された[2]。次に、開発した多孔質材料の疎水性と強度の耐久性実験を行い、シリカゲルの構造と疎水処理が壊れることがないことを実証できた。 理論的研究ではシリカゲルのナノサイズの気孔の中での液体流の特徴を明らかにするための基礎研究を行い、Navier-Stokesの方程式を疎水性処理の分子動力学作用の影響を入れて解析した。さらに従来の流体力学と分子動力学の関係パラメータ(滑り係数)を見つけ出し、滑り係数を計算するために、疎水表面の拡散係数の評価法を考案した。エネルギーバリアのモデルを用いて、コロイダルダンパの散逸を最高にするために、疎水処理の最適な分子構造(炭素原子の最適数)を明らかにした。その結巣、実験結果と解析結果がよく一致した。 理論的な結果は今年の米国の国際会議及びELSEVIERのJournal of Colloid and Interface Scienceで発表する予定である[5]。
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