研究分担者 |
中村 裕司 株式会社安川電機, 開発研究所メカトロ技術開発部, 課長(研究職)
浜松 弘 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 客員助教授
二見 茂 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 客員教授
牧野内 進 株式会社ニコン, 精機事業カンパニー・半導体露光装置事業部, ゼネラルマネージャ(研究職)
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研究概要 |
本年度は半導体露光装置のウェハステージとレチクルステージの同期位置制御精度を向上する制御アルゴリズム開発を行うとともに実験を行った.次の3つの内容について制御アルゴリズムの導出,制御系の設計,およびモデル機械装置による実験を行った.1)二重予測制御による同期位置精度の向上,2)加速度制御を付加した位置決め制御系の最適設計,3)2自由度制御による機械共振の安定化と応答性の向上,である. 以下に上記3つの研究内容の概要と得られた結果を述べる. 1)新制御方式(二重予測制御)による同期位置精度の向上 主軸の未来の位置を予測(5ms)し,従軸の予測制御の指令とする二重予測制御アルゴリズムを導出した.リードが異なる(10,4mm)ボールねじ駆動の2台のステージを用いて,同期制御実験を行った.同期精度は従来の制御方より約5倍向上した。この二重予測制御アルゴリズムは指令に対して1型であることが明らかになった.2型にする(一定速度に対する偏差がゼロとなる)のが次年度の課題である. 2)加速度制御を付加した位置決め制御系の最適設計 位置決めの応答を速くするため,通常の位置決め制御系に加速度制御を付加した.さらに5つの制御ゲインを最適調整するためにタグチメソッドを利用した.リニアモータ駆動の1軸ステージを用いて実験を行った.その結果,加速度制御を行わない場合に対して,位置決め整定時間が90msから20msへと減少した.加速度センサは安価(@1,000円)であり十分に実用的である. 3)2自由度制御による機械共振の安定化と応答性の向上 ボールねじ駆動の1軸ステージの安定化と応答性を向上させるため,フィードフォワードとフィードバックを用いた2自由度制御系を設計した.振動抑制とともに,オーバーシュート,定常偏差低減に効果があるという結果を得た.
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