本年度得られた成果を以下に示す. ◆特異点適合法に基づいたフィードバック制御法の開発 特異点適合法において特異点領域を最小にするアルゴリズムを昨年度開発した.このアルゴリズムに基づき、部分的な自律制御化を目指して、マニピュレータの姿勢に依存する可変形状特異点領域(algorithmic singularity)近傍におけるフィードバック制御法の開発を行った.この制御法を三菱重工製の7自由度PA-10マニピュレータに適用し、有効性を証明した. ◆特異点適合法と従来手法との比較 従来よく使われている疑似逆行列法や特異点低感度法(DLS : Damped Least-Squares method)を提案している特異点適合法と比較した.この結果、特異点にアプローチする手先の方向によって、それぞれの特徴が異なることを明らかにした.具体的には、特異点適合法はSingular Directionからのアプローチが効果的であることを示した. ◆人間型ロボットシステムへの適用 人間は、特異点を利用することで効果的な運動を実現している.しかし、従来の手法では、特異点近傍における動作をヒューマノイドロボットで実現することはできなかった.そこで、特異点適合法をヒューマノイドに適用する方法を提案した.提案する手法を実際のヒューマノイドロボット(株式会社富士通オートメーションのHOAP-1・HOAP-2)に適用し、実験による検証を行った.この結果、膝特異点近傍を安定に通過可能な静歩行動作を実現した.
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