研究概要 |
人間に対する力覚提示では,自然な力覚の提示と安全性が重要となる.本研究は,高性能・高機能かつ安全な力覚提示システムを開発することを目的とする. 本研究では,印加電場の制御によってみかけの粘性を制御できるER流体を作業流体として用いることで,応答性および安全性に優れたアクチュエータやブレーキが開発可能であることを確認しており,これらを用いることで微小な力覚まで正確に提示することが期待できる. 本年度は,次のことを行った. (1)ERアクチュエータを用いた3次元の力覚提示システムを開発した.また,その応用例として,上肢のリハビリテーションなどへの適用を行った. (2)ERブレーキは,正確にブレーキトルクを制御することができ,しかも応答時間は数ミリ秒と非常に高速である.上記のERブレーキを用いて,3次元パッシブ型の力覚提示システムを開発した.いわゆるロボットアームタイプのものであり,このような機構の3次元パッシブ型力覚提示システムは世界でも例がない.このシステムでは,人間の操作力以外に駆動力はないため,本質的に安全である. (3)アクチュエータを有する力覚提示システムと人間との衝突事故があった場合に備え,その際のダメージができるだけ小さくなるようにシステムを構築しておくことが重要である.そのような時に注意すべき用件として,力覚提示システム手先における運動エネルギ,運動量,速度などが挙げられ,これらの公的な規準の制定が待たれる.本研究で使用するERアクチュエータは,内部のクラッチ入力部の回転速度を適切に設定することで,それらの基準が定量的に定められた場合に適用可能である.
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