研究概要 |
触覚微分器の基本原理を模索するため,弾性棒の先端が,クーロン摩擦でモデル化できるような面上をなぞる際,なぞり面の法線方向と弾性棒根元で計ることができるトルクとの間にどのような関係が成立するか,またどのような条件下で微分効果(なぞり面の法線方向が不連続的に変化するところで,出力がジャンプする効果)が現れるかについて調べた.その結果,直線の弾性棒以外では,なぞる面の法線方向が不連続的に変化するところで,弾性棒の根元トルクが不連続的に変化すことを解析的に突き止めることができた.さらに,トルクの不連続性の強さが弾性棒と環境との摩擦,弾性棒の形状に強く依存することがわかった.この解析結果を踏まえて,L字型形状のピアノ線(L字の先端部の折れ曲がり部と根元部の比率を変えたものを4パターン用意),それを固定するアダプター兼トルクセンサ,さらにアダプター全体を動かすための駆動機構,及び駆動機構を制御するための制御装置,トルクセンサ情報を処理するための処理装置を研究試作して,表面の法線方向が不連続的に変化するような環境モデル(30度,45度,60度の折れ曲がり角を有する環境を用意)に対して,実際にトルクセンサ出力がどのように変化するかについて実験的に調べた.その結果,L字型の折れ曲がり部を相対的に大きくすればするほど,また環境の折れ曲がり角を大きくすればするほど,トルクセンサ出力の不連続性は顕著に現れることがわかった.
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