研究概要 |
本研究では、柔軟性のある表面被覆と爪を有する人間型ロボット指の開発により、器用な指先を工学的に実現し,その性能限界を明らかにすることを目的とするものである。指先端リンク基部に配置された6軸力モーメントセンサ,人工爪基部に配置された歪みゲージ,および関節角度エンコーダからの感覚情報を統合し,表面被覆の柔軟さと爪を含めた人間類似幾何形状情報とを利用した物体操作手法を研究し、以下の成果を得た。 1.アルミ内殻にシリコンゴム製柔軟被覆を装着した指先を試作した。指先内蔵6軸力センサを用いた接触点位置計測において、柔軟被覆による精度劣化が実用上問題にならないことを明らかにした。さらに接触圧の違いによる摩擦係数の変化を利用して、指先による紙ページめくりが実行できることを示した。 2.アルミ製の爪を試作し、その基部両面にひずみゲージを貼り付け、柔軟被覆指に装着した。柔軟被覆部によるなぞりでは弾性で吸収され検出できない物体表面の微小段差が、試作した爪によりなぞり検出できることを明らかにした。 3.指先で操作中の対象物体に滑らかな平面とシャープなエッジとがあるとき、指先柔軟被覆の接触変形によるトルク伝達特性の変化に着目し、接触対象面を識別する新手法を開発した。 4.柔軟被覆指先が把握中の物体のエッジで接触しているとき、そのエッジの方向を計測する新手法を開発した。 5.多関節多指ロボットハンドの作業動作機能と、上肢および移動機構による大域運動機能とを組み合わせた作業動作を検証評価するシミュレーションシステムを開発した。
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