研究概要 |
1)校正システムの開発 昨年度はオープンタイプのエンコーダ2つにそれぞれ検出ヘッド10個を組み込めるロータリエンコーダの校正装置を製作した。また、独立に計42個のエンコーダの誤差を32ビットで測定できる誤差測定回路の設計と製作を行った。また、測定ソフトを製作した。今年度は性能試験を行ったが、校正装置については重要部品であるモータの破損、エンコーダ信号のノイズ、誤差測定回路においても、ノイズの問題が発生し、十分な性能を評価することができなかった。 2)基礎実験 そこで今年度は、この校正システムの最大の特徴である複数検出ヘッドを使った高精度化についての基礎実験を行い、高精度化の見通しを得ることとした。内蔵する基準エンコーダは2つあり、それぞれをエンコーダA,エンコーダBとする。これらを精度±0.1秒の高精度エンコーダを基準に、エンコーダBの10個とエンコーダAの4つの各検出ヘッドで読み取った誤差とばらつきを調べ、その平均化効果を調べた。その結果、エンコーダBの各ヘッドは約±4秒の誤差を持ち、個々の信号のばらつきは標準偏差で約0.01秒であった。個々のヘッドの誤差の大半は一次成分誤差で機械的偏心誤差の影響である。この10ヘッドを平均化したものの誤差とばらつきはそれぞれ±0.15秒、0.003秒であった。この測定がデジタル平均を可能としているため理想的な高精度化が行われ、ほぼ計算通りの高精度化が確認できた。また、もうひとつのエンコーダAに関しては個々のヘッドは誤差±2.5秒、ばらつき0.05秒、4つの検出ヘッドの平均化の結果は誤差±0.2秒、ばらつき0.02秒であった。エンコーダBと比較してばらつきが数倍大きい。この原因は信号線のシールドの不完全さにあることがわかった。 3)結論 平均化効果により、標準偏差0.003秒と高精度化の見通しを得た。今後、モータの修理、ノイズ対策、誤差測定回路の改良を行い、完成した校正システムとしての性能評価を行う。
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