研究概要 |
1.校正システムの製作 このシステムは、1)2つの基準ロータリエンコーダA,Bを同軸に取り付けた精密等速回転機構、2)割出機構、3)誤差測定回路、4)コンピュータから成る。両基準ロータリエンコーダは36000P/Rの光学式で、周囲に10個の検出ヘッドが取り付けられるようになっている。回転機構は精密回転型空気軸受と直流モータからなり、1rpmから20rpmで回転できるようになっている。割出機構はロータリエンコーダAの検出ユニットを精密回転型空気軸受で支え、割出専用のロータリエンコーダ信号をフィードバックし、任意の位置に割り出せる。また、機械的なブレーキ機構によって、割出完了後の完全固定を行う。誤差測定回路は40個のロータリエンコーダの角位置信号を同時に取り込めるようになっており、高分解能な時間変換法による角度の比較測定を行う。コンピュータは割出動作、測定動作を自動化し、測定終了後の等分割平均法による校正演算を行う。 2.実験結果 時間変換法による単一検出ヘッド同士の比較測定値の標準偏差は0.008秒であるが、軸受の回転中心の振れ、振動などにより、ロータリエンコーダBにおいては0.01秒、軸振れ、検出ユニットの固定の剛性が低いロータリエンコーダAにおいては0.02秒であった。5個の検出ヘッドを使ったロータリエンコーダA,Bにおいては、標準偏差は0.003秒を得た。両基準ロータリエンコーダを等分割平均法で校正した結果、両ロータリエンコーダとも精度は±0.2秒であった。13分割の等分割平均法の結果、校正精度は±0.03秒程度であったが、再現性は0.003秒と非常に高いことがわかった。校正精度が目標の±0.005秒に届かなかった原因は割出精度にある。割出精度の向上によって、更なる高精度化が期待できる。
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