研究概要 |
ヒトが母指と示指でつまみ把持を行うことを想定して,両指のための指紋付人工皮膚(以下FS(フィンガスキン))の設計を行った.触ミラーは,グローブ外側の静摩擦覚センサと把持物体との間の接触状態をディスプレイによってヒト指に呈示する.そのため,静摩擦覚センサとディスプレイのFSの構造を別々に設計する必要があり,以下の4種類のFSを作成することとした.すなわち母指FSセンサ,母指FSディスプレイ,示指FSセンサ,示指FSディスプレイである.設計の際,健全者男子3名の母指および示指について,指とアクリル平板を接触させたときの面積を測定し,ヒト指に呈示するために必要なFSの大きさを決定した.その結果は,母指FSセンサの場合で厚さ1.5mm,幅18mm,長さ10mmとなった.当初,厚さ0.9mmで計画を行ったが,感度を高める必要性からFS内に収めるPVDFフィルムトランスデューサに関し,構造上支障がないと判断される0.6mmほどのスケールアップが行われた. X-Y-θステージをベースとして構成した静摩擦覚ディスプレイにFSを装着し,制御プログラムをディスプレイの駆動ために実装した.ディスプレイの動作としては,FS表面に初期局所滑りが生じるまではX軸方向にステージを動作させ,初期局所滑りが生じた際には,ステージを止める.これらの動作を実際に確認した. 人工マイスナー小体の小型化による検出感度の低下が見られた.すなわち,FS内の人工マイスナー小体から生じる信号のS/N比が低いため,スケールダウンしたFSを従来実績のある検出回路と結合するだけでは困難が生じることが分かり,この点に関する改善が次年度の課題として残った.
|