研究概要 |
研究初年度においては,指紋付人工皮膚(以下FS(フィンガスキン))内に組み込む人工マイスナー小体の小型化によって,検出感度が低下することが課題としてあげられた.本年度は,この問題を解決すべく多段の増幅回路を設計することにより,検出回路のS/N比の向上に成功した.また,ヒト指のマイスナー小体およびパチニ小体の周波数特性と同等の性能を有する人工マイスナー小体および人工パチニ小体の開発を行い,その特性を確認・比較した.そして,X-Y-θステージを主として構成した実験装置に人工マイスナーおよびパチニ小体を組み込んだFSを搭載して,ヒト指とFSの接触面に生じる初期局所滑りを検出できる手法,および初期局所滑りが全体滑りに遷移する前にステージを動作させ,それを防ぐ手法を確立した.この手法は,力覚センサを用いたPD制御よりも,約90[ms]早く初期局所滑りを検出できるという意味で有用であり,この時間はヒトが認識できる時間であることが心理物理実験によって確認された.同様に,これまで提案されてきた触知覚に関するフィードバックを有さない触知覚ディスプレイと比較して,触知覚情報に関するフィードバックを用いることの有用性を示すことができた.さらに,FS内に対称に配置された人工マイスナー小体から得られる信号の増幅率を異なる値にすることにより,ヒトのマイスナー小体では検出できない滑り方向を特定することができた. 静摩擦覚ディスプレイをSkilMateへ実装することを想定して,3軸方向に駆動できる小型のディスプレイを開発した.動力源として小型のモータを用いており,モータに連動されたステージが動作することにより,ヒト指に接触情報が呈示される.
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