運動機能の維持・強化のための総合運動療法システムの開発に関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350138
• 研究機関: 九州工業大学
• 研究代表者: 田川 善彦 九州工業大学, 工学部, 教授 (70122835)
• 研究分担者: 松尾 重明 久留米工業大学, 工学部, 講師 (70258599) ; 梅津 祐一 久留米大学, 医学部, 助教授 (50289584) ; 志波 直人 久留米大学, 医学部, 助教授 (20187389)
• キーワード: 筋力 / 筋断面積 / 骨塩量 / 無負加片脚懸垂 / 極限環境 / 足漕ぎ車いす / 神経反射 / 運動支援システム

研究概要

平成15年度では次のような成果を得た。
1.極限環境下(宇宙滞在や長期臥床)での電気刺激の効果を検討するためのプレテストとして片脚懸垂による長期無負荷拘束実験を行い、骨塩量低下、筋の萎縮(MRIに筋断面計測)、筋力の低下(実験直後は70%減)を認めた。同時に神経系の機能低下を認め、実験後に歩行不能となり、以後4週間のリハビリを経て実験前までに回復した。こうした神経系・筋骨格系の減弱を防止する方法として我々が提唱するハイブリッド法の効果を、それら両面から検討する必要性が示唆された。また健常男性の下肢に対するハイブリッド法の効果を長期実験で確認した(骨塩量増加:短期間で高負荷トレーニングと同等の効果、筋断面積:増加、筋力:実験後数週間後に最大力を発揮など)。
2.14年度に試作検討を重ねた電気刺激装置の制御部への外部情報のフィードバック法(筋力増強器)について、特許申請を行った。さらに研究分担者が受けた(財)日本宇宙フォーラム助成(H14,15年度)の成果も踏まえ、16年度以降は、極限環境下における筋力維持装置への応用、特にミクロな観点から共同研究テーマとして立ち上げる予定である。
3.電気刺激による運動支援の具体策として四肢まひ者向けの足漕ぎ車いすのシミュレーションと実機制御を可能とする運動支援システムの構築を手がけ、16年度は、より精緻なモデル化(筋モデルの付加など)を検討している。このシステムは負荷制御型エルゴメータ(14年度製作)による運動の支援・評価にも応用できるため、電気刺激下での相反抑制やプライオメトリックについての知見が種々の運度負荷時における反射系の検討から得られると考えている。

研究成果

• [文献書誌] 柳 東次郎: "Agonist Contractions against Electrically Stimulated Antagonists"Archives of Physical Medicine and Rehabilitation. 84. 843-848 (2003)
• [文献書誌] 前田 貴司: "大腿切断者の歩行解析"関節外科. 22(2). 214-220 (2003)
• [文献書誌] 前田 貴司: "電気刺激による筋力増強の効果"理学療法ジャーナル. 37(7). 563-568 (2003)
• [文献書誌] 志波 直人: "歩行シミュレータ"シミュレーション. 22(3). 143-147 (2003)
• [文献書誌] 前田 貴司: "三次元歩行解析における関節中心の再検討"日本臨床バイオメカニクス学会誌. 24. 329-333 (2003)
• [文献書誌] 右田 大輔: "Computer Simulation of Normal and Abnormal Human Walking"International Society of Biomechanics XIXth Congress. (CD-ROM). 4 (2003)
• [文献書誌] 齋藤 豪: "Electrical Stimulation-Assited Erogometer Leg Cycle Motion"International Society of Biomechanics XIXth Congress. (CD-ROM). 4 (2003)
• [文献書誌] 志波 直人: "宇宙空間で有効な筋力維持装置開発の研究-Hybrid法を用いた基礎実験-"バイオメカニズム17. (出版予定).
• [文献書誌] 志波 直人: "筋萎縮に対する電気刺激の効果-電気刺激による筋力増強効果について-"Monthly Book of Medical Rehabilitation. (in press).
• [文献書誌] 岩崎 敏展: "同一電気刺激による収縮形態の違いによる筋出力差-長期間の電気刺激による刺激強度と筋出力の変化-"運動療法と物理療法. (出版予定).