研究概要 |
時間的に変動する風力や水力の持つエネルギーを有効に利用するために、現在の可変速大型風力発電機では、ブラシ付きの巻線形誘導発電機を用い、その二次電力をインバータで制御するいわゆる二次励磁方式が広く採用されている。二次励磁方式は、インバータ容量が小さくて済み、経済的な利点がある反面、ブラシやスリップリングの定期的な保守が必要になる。したがって、近い将来、発電機設置台数が増加するにつれて、保守問題が大きくなることが予想される。 そこで、本研究では、二次励磁方式のもつ経済性の利点を活かし、しかも、保守問題が大幅に軽減できるブラシレス二次誘導発電機を中心にした検討結果と、ブラシ付き発電機において低コスト化が図れる回路構成を検討した結果、当該年度に得られた主な成果は以下の通りである。 1.カスケード接続誘導発電機は1,000kWを超える大型発電機に実用性がある。この場合、第2誘導機固定子を六相巻線とすることにより、安価なダイオード整流器を適用しても高調波障害を抑制できる。しかし、低力率特性は改善されないので、何らかの力率補償が必要になる。 2.リラクタンス型フラックスバリア付き回転子の誘導発電機を試作して特性を検討したが、力率が悪い。一般に、希土類磁石を用いた永久磁石発電機が採用される傾向にある。しかし、希土類磁石材料は中国などの一部に資源が偏在することから、全面的に永久磁石発電機に移行することは技術戦略上大きな問題がある。鉄と銅を主材料とし、しかも構造が簡単なリラクタンス型誘導発電機の研究が今後とも必要になると考えられる。 3.ブラシ付き巻線形誘導発電機において、電力回生用インバータを固定子に直列接続する新しい方式について、従来方式と同様な特性が得られることをシミュレーションで確認した。実際のシステムでは、過渡特性が問題になり、それに対応する新しい制御法の開発が今後の課題である。
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