研究概要 |
パワーエレクトロニクス機器のひとつであるFACTS機器によって,高速かつ連続的な配電系統の電圧制御が考えられており,その結果として分散型電源の導入促進が期待されている。 本研究では,まず,CADソフトウェアであるMATLAB/SIMULINKを用いた,高圧配電線に10台以上の太陽光発電装置が連系し,単独運転検出までの周波数領域のシミュレーションが可能なディジタルシミュレータを構築した。 次に太陽光発電が大量導入された住宅地域配電系統において,FACTS機器を用いた配電系統の電圧制御において,STATCOM, SSSC, UPFC, BTBなどのFACTS機器をそのコストに直結すると考えられるインバータの容量といった観点から比較検討を行った。 樹枝状系統の場合、SSSCおよびUPFCの直列補償が配電系統の電圧分布維持に容量的にも損失的にも効果的であることが確認された。特にUPFCはその並列部により自由な直列補償電圧を印加する事が出来るため非常に効果的であった。ループ化配電系統の場合,同一バンク間ループでループ化されるフィーダに電圧制限違反が生じにくい時にはUPFCが効果的な機器である事が分かった。しかし,補償が必要な箇所に近いところに設置することで最も良い効果が得られるとともに,ループ化する配電線の状態によってその効果が異なってしまうため,ループ化せずにそれぞれの機器で制御する方が有利である場合も見られた。 また,UPFCによる異バンク間ループは,バンク間の相差角を調整するための容量が電圧分布を維持する分とともに必要になってくるため,特に太陽光発電導入率があまり高くない場合には不利である事が分かった。その点ではBTBは異バンク間でも同一バンク間でも関係のないため,太陽光発電の導入率が低い場合には有利であった。 以上より総合的に判断し,UPFCの有効性が明らかとなった。
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