研究概要 |
分散電源を自由に接続できるような完全開放型電力系統の構築と運用を研究目的としている.この目的に対して超電導技術の適用の貢献を考えている. 電力系統の構築に関しては,超電導発電機と超電導限流器の導入効果について昨年度の引き続き考察した.多くの分散電源は半導体電力変換装置を用いるため,電力系統に高調波電流を流入する可能性が高い.本年度は,構造高調波吸収能力の高い超電導発電機のパラメータ(寸法,各部位の物理定数)と高調波特性の明確関係を電磁界解析により求めた.これにより,高調波吸収能力を発電機設計に組み込めることが出来る.また,バルク超電導体を回転子に保つ発電機の特性を実験的に求めた.限流器に関しては,研究を続けてきた低温超電導線を用いた動作電流調整可能限流器に加え,銀シースBi系超電導線を用いた動作電流調整可能限流器とY系薄膜超電導限流器の研究を始めた.特にY系薄膜限流器では,限流効果とスイッチングサージによる不動作特性に特徴があり,信頼度の高い分散電源を含む電力系統の構築に大きな寄与があることを示した. 電力系統の運用に関しては,昨年度に引き続き,SMES(超電導磁気エネルギー貯蔵装置)を用いた運転状態における系統の固有値測定の研究を続けている.SMESから正弦波状の電力を電力系統に注入する方法では,多機系統においても数種のSMESの安定化制御ゲインで測定することにより,固有値の実部を測定できる可能性を示すことが出来た.また,小型超電導マグネットからなるSMESと回転機を含む電力系統シミュレータによる上述の実験に成功した.
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