研究概要 |
この研究の目的は分散電源が自由に接続できる経済的で安定な電力系統の構築と運用である.電力系統の構築には矛盾する2つの課題である故障電流の抑制と系統安定度の確保がある.さらに分散電源が接続されると系統運用者が分散電源の特性を正確に知り得ないこと,電流高調波,電力変動,電圧変動などの課題がある.この研究において,超電導発電機,超電導故障電流抑制限流器,超電導磁気エネルギー貯蔵装置を導入することにより,上述の課題に解を与えることを実験的,理論的に明らかにした. 超電導発電機を導入することで,電力系統の大幅な安定性,高調波吸収能力,電力変動に伴う電圧変動抑制をアナログシミュレータによるシミュレーションにより明確に示すと共に,そのような特性を持つ発電機の設計パラメータとの関係を明確にする理論的考察を行った.限流器に関しては,動作電流可能な限流器による限流効果と安定度向上を実験的に示した.また,故障電流には動作するがスイッチングサージには動作しない限流器が必要であることが明確になり,高温超電導体を導入すれば,この解決手段となりうることを実験的にしめした.多くの分散電源が導入された系統では,その特性が正確には把握できないと考えられる.超電導磁気エネルギー貯蔵装置を用いて系統運転状態における系統の固有値を測定する方法を示し,比較的簡単な系統で測定できたことを示すと共に一般的な系統で測定できる可能性を示した. 以上のことにより,超電導機器を導入は経済的で安定な完全開放型電力系統の構築と運用に寄与することを示した.
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