研究概要 |
大気開放型の非平衡プラズマの利用拡大を最終目標に,高速ガス流とマイクロプラズマを組み合わせたプラズマ源の開発を進めた。今年度の研究実績を以下にまとめる。 1.直流駆動マイクロホローカソードプラズマと高速酸素ガス流を組み合わせることで,より高効率なオゾン生成が可能となることを示し,本方式による大気開放型オゾン生成システムが構築された。特にオゾン生成の空間分解測定から,酸素ガスの解離からオゾン生成までの過程を,本方式では分離していることを実証した。また,酸素ガスに変えて空気原料ガスによるオゾン生成特性を分析し,プラズマ内の高エネルギー電子による窒素酸化物の生成とこれによるオゾン分解機構を明らかにした。さらに,以上の知見を元に,本マイクロプラズマの特徴である高電力密度,高電子エネルギー密度を最大限に活かす応用対象を明らにした。 2.2.45GHz電源を使用したマイクロ波励起マイクロプラズマの発生を進め,大気圧以上の高速ガス流中で,始めて安定なマイクロプラズマを内径400μmのガラスキャビティ内に生成できた。この結果,直流駆動方式で課題となる電極消耗のないマイクロプラズマ発生が可能になった。この際マイクロ波キャビティ内の絶縁特性をプラズマ化ガスに応じて高める必要性を示した。マイクロ波励起方式は直流駆動方式と比較してプラズマの一様性が高く,電子付着作用の強いガス中においても安定なプラズマ生成が可能であることがわかった。また分光計測結果からは,直流駆動,マイクロ波駆動ともに高エネルギー電子の存在が予測されたが,マイクロ波駆動方式では電子温度の注入電力依存性が直流駆動方式よりも小さいことが新たにわかった。
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