限られた資源を有効に利用し、環境への影響を少なくするために、デマンドサイドマネージメントが注目されている。デマンドサイドマネージメントを行うことにより、電気エネルギー供給システム全体として省エネルギーを達成し、過剰な設備投資を回避できることが期待されている。 本研究は、電力技術に情報技術を融合させることによって個別の需要家の要求に応えられるようなきめ細かなデマンドサイドマネージメントがどうあるべきかについて検討し、規制緩和との両立を図ることを目的としたものである。 そのために、まず、「需要家の消費動向のモデル化」および「効果的なデマンドサイドマネージメント実現のために需要家に提示するメニューの考案」についての検討を行った。現状では電力貯蔵設備及び変換設備のコストが高いため、供給コストに与える影響まで考慮すると、信頼度上昇のみではなく、選択的に信頼度を低下させた方が社会厚生が向上することも考えられるので、信頼度別マルチメニューサービスの一つとしての選択的負荷遮断契約のあり方について考察した。 また、機器の直接制御と電力価格提示による間接制御を組み合わせたリアルタイムデマンドサイドマネージメント方式の検討を進めた。間接制御の一形態として、需要家への報奨金に基づくシステム(報奨金型デマンドサイドマネージメント)を考案し、その有効性について検討を行った。報奨金型デマンドサイドマネージメントは、多くの需要家が参加できる方式であるため、大きな効果が期待できる。報奨金制度(間接制御)と直接制御を組み合わせた方式によれば、需要家の効用を大きく損なうことなく系統側の設備投資を減少させることができ、社会余剰の増加が期待できること、また、CO2排出量の削減も期待できることがわかった。
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