鉄心長213mmで鉄心積厚の異なる2本の回転子、a.突極角度30°、b.同40°を試作し、固定子も一方のユニットを機械的に45°回転させて固定できるように改造を行った。試作回転子の突部直径はa、bとも73.6mmで、空隙は0.9mmである。なお、従来型の回転子は突部直径が72.4mmで空隙は1.5mmであったので、新型の回転子の空隙は旧型機の60%である。これらの装置を用いて、1.無負荷誘導起電力を測定し、従来型の回転子との比較を行った。その結果、・同じ界磁電流に対して、新型回転子を用いた場合の誘導起電力は、旧型機の約2倍であった。すなわち、界磁巻線と電動機巻線の相互インダクタンスは旧型機の2.1倍になり、空隙長が短いことの効果(1.6倍)以上の、起電力の増加が認められた。 ・界磁電流を変化させたときの誘導起電力のヒステリシス幅が極めて小さくなっている。このことから、界磁磁束のほとんどが磁気特性の良い積層鉄心部を通っていることが確認できた。 ・旧型回転子では突極角が大きくなると、この突部で界磁磁束が短絡されて誘導起電力が低下する傾向が見られたが、新型回転子では突極角が大きい方が誘導起電力が大きくなっている。これは、円周方向に積層したため短絡磁路が形成されずに、本来の放射状の磁束が増加したためと考えられる。このことは、モータとしてのトルク・出力の向上だけでなく、半径方向力も増大できることが期待される。 2.回転子位置を変化させた場合の、電動機巻線と支持巻線との間の相互インダクタンスの変化を測定した結果、回転子位置センサを用いずに回転子の変位が計測できる可能性があることを確認できた。 以上の結果より、円周方向積層型回転子を用いることにより、ホモポーラ型ベアリングレスモータの特性が改善できるという見通しを得、初期の目標が達成できた。
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