研究課題
本研究では、全ての電池材料をレーザーアブレーション法を用いて多層化することにより、全固体薄膜リチウム二次電池を試作する事を目標として掲げ、昨年までにほぼ目標を達成した。本年度は、最終年度として、これまでに開発してきた薄膜リチウム二次電池の動作特性と、その原因解明を行い、到達点と課題を明確にすることを行なった。この電池は、正極にLiCoO_2、固体電解質にLi_<3.4>V_<0.6>Si_<0.4>O_4(LVSO)、負極にSnOが用いられ、正極以外はアモルファス相を用いている。サイズは、5mm角、厚さ約2μm。電圧は、1〜3V,電流密度6μA/cm^2で数100サイクル以上の充放電特性を示した。正極のLiCoO_2膜の熱処理により特性が大きく変化するため、今回、基板、性膜条件、熱処理温度等への依存性を詳細に検討し最適条件を絞り込んだ。また、成膜直後のアモルファス膜と結晶化膜の電子・イオン物性、光学吸収スペクトル等を測定した結果、結晶化によりバンドギャップが狭くなりホール伝導性が向上する事が明らかとなった。これらの結果は、国内学会(物理学会、固体イオニクス討論会など)や第9回アジア固体イオニクス国際会議(韓国)、第4回日仏リチウム電池セミナーで発表された。第9回アジア固体イオニクス国際会議では、発表者の桑田(当時ポスドク)が最優秀ポスター賞を受賞した。学術論文としては、レーザー波長と成膜条件を記したSolid State Ionics誌に掲載され、他レビューを含めて3編が投稿中である。
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Solid Sate Ionics 175,1-4
ページ: 273-276
ページ: 679-682
Solid State Ionics : The Science and Technology of Ions in Motion (B.V.R.Chowdari et al., ed., World Sci.Publ.Co., Singapor)
ページ: 637-644
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