研究概要 |
1.Cu (In_xAl_<1-x>)S_2薄膜太陽電池を製作するための準備段階として、Cu-10%Al合金,純Cu,純Inの3ターゲットからの高周波マグネトロンスパッタにより、前駆体積層膜を真空を破ることなく連続的に堆積した。これを硫化してAlを含むCuInS_2薄膜が製作できた。この薄膜太陽電池の高効率化を今後において検討する。 2.Mo被覆ガラス基板上に先ず広い禁制帯幅(2.5eV)のCuGaS_2薄膜を作成し、その上に光吸収体としてのCuInS_2薄膜をさらに作成した。このヘテロ構造を採用することにより、世界最高水準の変換効率13%の硫化物系薄膜太陽電池を実現した。この結果は、前者の半導体薄膜の挿入により、電子に対するエネルギー障壁(electron mirror)が形成されたことに基づいていると考えられる。今後、Cu/Ga比やCu/In比の影響をさらに詳細に検討して、変換効率のさらなる改善をめざす。 3.溶液成長法を用いて、無害の(Zn, In)・(O, OH, S)バッファー層を製作した。出発材料としてよう化インジウム、よう化亜鉛、チオアセトアミドを使用し、溶液のpHが3以下の堆積条件において、Znと比較してInを数十倍多く含む微結晶連続膜が得られた。しかしながら、この膜と基板との界面付近にはZnが膜中に比べて7倍ほど多く含まれていることが解った。この膜は無害化および高効率化の観点から有望であると考えられる。
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