研究概要 |
本研究は、光キャリアー生成層として有望な微結晶シリコン(μc-Si : H)薄膜と、光導入窓層としての微結晶シリコンカーバイト(μc-SiC : H)薄膜の局在準位の評価手法を確立する事、その手法を用いて局在準位のエネルギー位置と密度を決定する事、局在準位密度の低減を実現する事を目的としている。平成14年度は[A],[B],[C],[D]に関して以下の研究実績を得た。 [A]H14年度に低振動の低温〜高温用クライオスタットを校費にて購入し、光学窓等を光熱ベンディング分光計用に調整する等の改良を行い、試料の酸化等の変質を防いで安定に測定が出来るように分光計の再構築を行った。現在までに測定波長2〜0.5μmにおいて、300〜430Kでの測定温度範囲で測定感度αd〜5×10^<-5>を得たまた77Kで測定感度αd〜5×10^<-2>を得た。[B]本研究に使用したCa-CVD装置では水素希釈率(r=H_2/SiH_4)がr=30以上で微結晶シリコン柱が作製でき、構造評価から微結晶シリコンのサイズが〜20nmで結晶化度が60%〜90%のμc-Si : H薄膜が得られることが分かった。[C]光熱ベンディング分光法により0.7〜1.2eVで観測した負の温度依存性を有する光吸収が酸素に起因する事を見出し、また炭素を意図的に混入したμC-Si:H薄膜ではこの光吸収が観測されないことを示した。[D]μc-SiC : H薄膜がCH4を原料ガスに用いる場合に比べ、より低いフィラメント温度1850℃で製膜可能である事を示した。また炭素含有量を60%まで、光学ギャップを2〜2.6eVまで制御可能である事が分かった。その他として微結晶シリコン太陽電池用の透明電極保護膜として利用できる水素ラジカルに高い耐性を持つ微結晶TiO_2薄膜の光学的電気的特性を示した。
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