研究概要 |
本研究は、光キャリアー生成層として有望な微結晶シリコン(μc-Si:H)薄膜と、光導入窓層としての微結晶シリコンカーバイト(μc-SiC:H)薄膜の局在準位の評価手法を確立する事、その手法を用いて局在準位のエネルギー位置と密度を決定する事、局在準位密度の低減を実現する事を目的としている。平成15年度は[A],[B],[C],[D]に関して以下の研究実績を得た。 [A]H15年度は、短波長領域の測定可能な波長を0.5μmから0.4μmに拡張した。 [B]H14年度に作製可能とした(111)面優先配向の微結晶シリコン薄膜で観測された0.7・1.2eVで観測した負の温度依存性を有する光吸収の起源を探った。一定光電流法(CPM)を用いた微結晶シリコン薄膜の光吸収スペクトルでは0.7・1.2eVでの吸収が非常に小さく、測定温度を変化させてもその温度依存性も同様に非常に小さいものであった。光熱ベンディング分光法では光生成キャリアーの再結合を観測しているのに対し、CPM法では電極に到達する光生成キャリアーを観測している。光熱ベンディング分光法で観測された0.7・1.2eVの光吸収は微結晶シリコン薄膜の粒界に起因する可能性を示唆する情報を得た。 [C]Hot-wire CVD法において、フィラメント距離を制御することにより(220)面を優先配向とする微結晶シリコン薄膜が作製可能となった。 [D]微結晶シリコン太陽電池用の透明電極保護膜として利用できる水素ラジカルに高い耐性を持つ微結晶TiO_2薄膜において窒素の添加を可能とし、屈折率を制御可能で作製条件を得た。また光電気伝導性が向上する結果を得た。これらの特性は透明電極保護膜として利用できる事を示した。
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