研究概要 |
ナノ粒子集積(配列)型磁気記録媒体開発には,配列構造形成技術と集積薄膜の評価技術の確立が必要である. 配列構造形成技術として,ラングミュア・ブロジェット(LB)法を用いて水面上にFePtナノ粒子の配列構造体を形成し,それを基板上にプリントするように堆積させる.LB膜作製装置を購入・設置し,単粒子膜を水面上に展開するための基礎的な検討を行なった.ナノ粒子分散溶液の濃度,溶媒を変えることにより,水面上に単粒子膜を得るための条件を探査した.その中で,溶媒として用いるヘキサンとクロロホルムでは最適な粒子濃度が異なることを見出した.このことは溶媒の極性度の違いが,粒子間の電気的な相互作用に影響を及ぼしていることを示唆している. 次に評価技術としての基礎的な検討を行なった.今年度は磁気特性に直接影響を与えるFeとPt原子とが結晶構造中でどの程度規則的に配列しているかを評価する手法として,X線回折パターンをリートベルト解析し,規則相と不規則相との割合を評価する手法を粉末レベルで確立した.さらに記録媒体の磁気特性として重要な磁気緩和特性の評価手法を検討した.粉末レベルではあるが,PPMSを用いて磁気緩和の測定結果から媒体のノイズ特性にも影響を与える活性化体積を評価した.この2つの評価を通して,結晶構造中の規則度と磁気緩和特性との相関を調査し,規則度の増加が,緩和特性の改善に寄与することと,活性化体積と粒子の物理的な体積との間の比率に影響することを明らかにした.
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