研究概要 |
Fe-Ptナノ粒子集積膜の作製手法とFe-Ptナノ粒子の記録媒体としての実用的観点からの磁気特性評価を行なった. ナノ粒子集積膜を作製するラングミュア・ブロジェット法において,水面上で溶媒が蒸発しながらナノ粒子が配列していくことを想定し,溶媒の種類,蒸発時間,蒸発時に印加する水面上単粒子膜の表面圧力,ナノ粒子分散溶液の粒子濃度が,配列形成に及ぼす影響を調べた.まず水面上では溶媒の蒸発に伴い配列が進行していくが,沸点の低いヘキサンと沸点が高いヘプタンとでは,蒸発に時間がかかるヘプタンのほうが広範囲で配列しやすいこと,及びその際に単粒子膜の表面圧力と分散液の粒子濃度を最適化することが必要であることが示された.表面圧力と粒子濃度が低すぎる場合には単粒子膜の生成しない領域があり,その逆に表面圧力と粒子濃度が高すぎる場合には多層化や配列しない凝集が観察された.これらのことから水面上において配列を促進するには水面上でのナノ粒子の流動性が重要であることを見出した. Fe-Ptナノ粒子を磁気記録媒体に用いる理由として高い結晶磁気異方性による磁化の熱安定性があげられる.その結晶磁気異方性に影響を与えるパラメータとしてL1_0構造における規則度と組成があり,この2つのパラメータとの関連で磁気異方性と磁化の熱緩和特性を調べた.その結果,1)規則度は磁気異方性エネルギーを低下させるだけでなく,その異方性磁界分布を広げること,2)等比組成からずれると規則度が低下し異方性磁界の低下とその分布が広がる傾向が見られたが,Feが多い組成領域では低異方性磁界成分が少なく,磁化の熱緩和の点でも有利であることを明らかにした.さらに,熱アシスト磁気記録への応用を考慮すると,キュリー温度が低く,熱安定性に優れた材料という観点から,Fe組成の多いFe-Ptが有利であることを明らかにした.
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