研究課題/領域番号 |
14350181
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子デバイス・機器工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中本 高道 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20198261)
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研究分担者 |
石田 寛 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (80293041)
井手 純一 長谷川香料(株), 技術研究所, 上席研究員
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 匂いの記録再生システム / 匂いセンサ / 水晶振動子ガスセンサ / インクジェット素子 / 匂い調合装置 / オートサンプラ / 匂い近似 / 匂いの動的変化 |
研究概要 |
本研究では、匂いセンサを用いた嗅覚情報の記録再生技術に注目して、その基礎的な段階を確立することを目指した。嗅覚情報の記録再生技術が確立できれば、マルチメディアの中に匂いを取り込むことができるようになり、五感情報通信への展望が開けてくる。 りんごや柑橘類の果実臭の記録再生実験を行い、りんご臭に関して8要素臭のレシピをもとめて官能検査により対象臭と同じ匂いを再生できたことを確認した。また、匂い記録の手法として数秒単位で対象臭と調合臭を切り替える実時間参照方式を考案し、温度や湿度等の環境変動に対するロバスト性を向上させることができた。さらに実時間参照方式を動的な匂いレシピ変化の記録にも用いて、温度や湿度の環境変化があってもレシピの記録は可能で、同じセンサアレイを2個用いる方法では5秒程度のレシピ変化まで捉えることが可能であることがわかった。 さらに、要素臭の数を必要最小限に抑えるために匂い近似の概念を導入するとともに、オートサンプラにより最大96成分の要素臭までを扱うことができるシステムを作った。匂い近似に関しては、りんご臭、バナナ臭、オレンジ臭、メロン臭に関して、十数成分程度で構成される対象臭を3成分で匂いを近似することを試みた。主成分分析で得られた散布図でプロットの近い匂いを調合した結果、類似した匂いを作り出せることを官能検査により確認した。また、オートサンプラを用いた装置に関しても、そのベースの組成を変えた香水を数種類用意して、オートサンプラで調合することにより、対象臭に近い調合臭を作れることがわかった。この装置の本格的な運用はこれからであり、これらの2つの方法により、匂いの記録再生システムを適用する範囲は飛躍的に拡大できることが期待される。 また、低揮発性香気成分に関しては、対象臭に対する貢献が大きいにもかかわらず匂いを移動させるのに時間がかかることが問題であったが、インクジェット素子とメッシュヒータを用いて高速に匂いを発生消滅させる方法を実現することができた。そして、最急降下法によりレシピ探索を行いジャスミン臭の2つの主要成分のレシピを求めることに成功した。
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