研究概要 |
本研究では、提案したデバイスの作製において重要となる分極制御技術と微細加工技術に関する研究を行った結果、以下の研究成果が得られた。 1)新規分極反転制御法の提案と実証:LiNbO_3(LN)結晶を用いた2μm以下の微小周期分極反転形成を目的として新しい円電極法を提案した。まず、理論解析を行った結果、結晶に点接触する円形電極形状が分極反転制御に有効であることが示唆された。つぎに、円電極法を実証するために2μm周期の円形電極を二光束干渉露光により作製し、電界印加分極反転実験を行った。その結果、厚さ500μmのLN結晶において、2μm周期の分極反転の作製に成功した。また、一部分ではあるが、0.15μmの極微小分極反転の作製に成功し、提案した円電極法の有効性を実証することができた。 2)結晶の抵抗率と分極反転特性との関係:本研究の目的である微小周期分極反転技術の確立を目指し、抵抗率ρを制御したLN結晶を用いて分極反転特性を調べた。具体的にはLN結晶の抵抗率を4桁低下させたBlack-LN結晶を用いて分極反転実験を行った結果、分極反転閾値Vthは100V程度であり、Vthはρ^<1/2>に比例することを見いだした。また、ドット状周期電極を作製して、電圧100Vを印加した結果、周期ドットパターンを均一に作製することができた。この結果から、結晶の抵抗率を制御することにより、従来と比較し1/100以下の印加電圧で微小周期反転構造を形成できることを明らかにした。 3)ダイシングソーを用いたリッジ型光導波路の作製:ブレードの回転速度および送り速度をそれぞれ30,000回転、0.3mm/秒の条件で行った時、幅5μm、深さ10-30μm、長さ50mmの平滑で断面凸状のリッジ形状が形成され、Tiを熱拡散した5μm x 5μm程度の矩形光導波路を作製することができた。作製した光導波路の挿入損失および伝搬損失をHe-Neレーザを用いて測定した結果、それぞれ1dB/cm、7dBであった。現時点での導波特性はまだ十分ではないが、加工条件の最適化により、長尺リッジ型光導波路作製の可能性を示すことができた。
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