研究概要 |
配線のRLC抽出に用いる周波数について研究を行った。周波数依存性のある配線特性を単一周波数でのモデル化を実現するためには、信号の伝搬特性に支配的な影響を与える抽出周波数を適切に選ばなければならない.配線の解析で重要なのは配線の終端での波形であり、配線長などの配線構造にも強く依存している.本研究では,伝送線路におけるtime-of-flightに基づく抽出周波数決定手法を考案した.提案する周波数で抽出された配線を用いることで,波形を精度よく再現できることを回路シミュレーションにより確認した.誤差の最大値は8%であった.提案手法を用いることにより,周波数依存性をもたないラダー回路でも精度よく回路の解析が実現できる。 LC型PLLとリング型PLLの性能比較を1)現状プロセスで試作,評価した特性の実測値,2)解析的なアプローチによる将来性能予測を用いて行なった.0.18umCMOSプロセスで1.6GHzPLLの試作を行った。リング型PLLは,周波数可変範囲がLC型PLLと比べて10倍程度広く,面積や電力はそれぞれ4分の1,2分の1程度であった.一方,ジッタ値はLC型PLLがリング型PLLの1/3で,位相雑音(@1MHzoffset)は50dBc/Hz小さい.将来性能予測の結果,リング型PLLとLC型PLLの相対的な性能の差は今後もほぼ一定であり,電力やチップ面積はプロセス微細化に伴って減少するが,ノイズ特性はプロセス微細化に伴って悪化するという関係が得られた.将来低ノイズ特性を実現する回路設計が重要となることを明らかにした.
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