研究概要 |
本研究は,本研究者らが考案し,開発を進めてきた電気光学結晶の斜め周期ドメイン反転を利用した進行波位相格子デバイスの改良をさらに進め,ラマンナス回折型からブラッグ型回折へと質的改良を図り,この結果に基づき,従来の音響光学デバイスでは原理的にも対応できないGHz〜数十GHzの周波数域で動作可能な超高速光偏向器,高効率光周波数シフタ,光回折器などの種々のマイクロ波光ビーム制御デバイスを開発し,光波-マイクロ波インターフェイス,光WDM,光計測などに役立てることを目的とする.簡単に言えばGHz〜数十GHz帯で動作する音響光学デバイスに相当するものを新しく電気光学デバイスとして提供しようというものである.その他,ドメイン反転領域のビーム断面内分布を利用した超高速光偏向器やフラット光周波数コムの開発研究も併せて行った,成果の主なものは 1.16GHz帯ブラッグ型光周波数シフタ 斜め周期ドメイン反転に基づく進行波位相格子により,10GHz以上の周波数シフト量,理論的変換効率100%のブラッグ回折型周波数シフタを世界で初めて実現した.平成14年度に確立した細周期ドメイン反転技術に基づき20μm間隔の斜め周期ドメイン反転をLiTaO_3電気光学結晶で実現し,素子を作製した.実験により,ほぼ理論通りの周波数シフト量16GHz,変換効率82%のブラッグ回折型周波数シフタの動作を確認した.この結果はIEEE Photonics Technology Lettersに掲載予定である. 2.超高速光偏向器とパルス生成への応用 周期分極反転部の幅をビーム断面方向で変化させ、変調指数を線形分布させる方式の超高速光偏向器を設計、試作構成し,その動作の確認とそれを用いた超短光パルス生成への応用を試みた.16GHzで実験を行った結果,大振幅(スポット数:32)の偏向動作確認に成功した.この偏向器とスリットを用いた短パルス生成の予備実験において,測定限界のパルス幅1ps(理論値622fs)を実現している.
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