アナログ・デジタル混在型超並列視覚システムの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14350188
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 八木 哲也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50183976)
• キーワード: シリコン網膜 / 画像処理 / 実時間 / FPGA / 静止画像 / 動画像 / 運動方向検出 / 奥行き検出

研究概要

本研究の目的は、近年本研究室において開発されたアナログ人工網膜(シリコン網膜)とFPGA(Field Programmable Gate Array)を組み合わせた、全く新しいアーキテクチャに基づく画像処理専用システムを構築することである。本年度は、まず既存のシリコン網膜の解像度を向上させるためのチップレイアウトを行った。レイアウト結果に基づいた回路シミュレーションでは、所望の出力が得られている。今後はこのレイアウトに基づいて、VDECを利用してチップを作成する。FPGA回路の設計では、輪郭抽出、2値化、絶対値計算を行うアナログ回路を設計し、市販のディスクリート部品により製作した。これらの回路がシリコン網膜の出力画像に対し所望の演算を実時間で実行できることを確認した。さらに、これらの回路と画像メモリRAMおよびFPGAを搭載した専用ボードを製作した。一方、画像処理アルゴリズムについては、シリコン網膜により同一シーンを静止画像および動画像として捉え、これらから得られる輪郭の属性に基づいて運動方向を抽出するアルゴリズムを考案した。またこれらのエッジ情報から、対象物の重心やメディアンによる中心値を求めることに成功した。さらに2つのシリコン網膜を用いて、対象物エッジの奥行きを実時間で計算するアルゴリズムを考案した。

研究成果

• [文献書誌] K Shimonomura, S Kameda, T Yagi: "Silicon retina system applicable to robot vision"INNS/IEEE International Joint Conference on Neural Networks Honolulu, Hawaii, USA. (CD-ROM). (2002)
• [文献書誌] Kazuhiro Shimonomura, Seiji Kameda, Tetsuya Yagi: "A robot vision system using silicon retina"4th International Forum on Multimedia and Image Processing(IFMIP 2002). (CD-ROM). (2002)
• [文献書誌] Seiji Kameda, Tetsuya Yagi: "An analog VLSI chip emulating sustained and transient response channels of the vertebrate retina"IEEE trans. Neural Networks. (Accepted).
• [文献書誌] Seiji Kameda, Tetsuya Yagi: "Calculating direction of motion with sustained and transient responses of silicon retina"Proc. SICE Annual Conference 2002 in Osaka. 2374-2379 (2002)
• [文献書誌] Kazuhiro Shimonomura, Keisuke Inoue, Seiji Kameda, Tetsuya Yagi: "A Novel Robot Vision Applicable to Real Time Target Tracking"Journal of Robotics and Mechatronics, Vol.15, No.2, 2003. (Accepted). 534-540
• [文献書誌] Kazuhiro Shimonomura, Keisuke Inoue, Tetsuya Yagi: "A target tracking employing a silicon retina system"Proc. SICE Annual Conference 2002 in Osaka. 1229-1230 (2002)