(1)本研究の課題の一つは、PDPマイクロ放電へレーザートムソン散乱計測法(LTS)を適用可能とできる電極基板の開発である。そのような電極基板を、韓国釜山大学電気工学科の朴正后教授の研究室と共同で開発した。電極基板は、ガラス板上に銀の電極パターンを形成し、それをガラス膜(数10μm厚)で覆い、さらにその上にMgOの保護層を被せた構造のものである。まずは、PDPの維持電極を模擬することを意図して、1mm幅、長さ20mmの電極が0.1mmのギャップでガラス板上に対向する形状とし、最終的には幅2mm長さ50mmの電極基板として切り出す加工を施した。このような電極基板を、目的に合わせて形成できる体制が整った。 (2)上記の幅2mmの電極基板を用いてマイクロ放電を生成し、それを対象としてLTS計測を実行した。その結果、電極基板表面から60μm離れた位置においてもLTS信号を検出することができるようになった。(昨年度までは、この距離は100μmであった。)この結果、電極基板表面から上方の方向で電子密度・温度がどのように分布しているかを測定できるようになった。 (3)電極基板表面の上方への方向(Z)で、電子密度と電子温度の空間分布を測定した。その結果、圧力200Torrの時の電子はZ<250μmの範囲に存在し、電子密度のピークはZ=100μmにあることを明らかにした。電子密度の絶対値は、10^<19>m^<-3>のオーダーであった。圧力が上がると、電子の存在範囲と電子密度のピーク位置は基板表面に近づいていく傾向にあった。電子温度は、Z方向の測定した範囲で1〜2eVの値をとり、ほぼ一定であった。
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