研究概要 |
パルスエネルギー560pJ,パルス幅70fs,繰り返し周波数76MHzをフェムト秒レーザを1.1mの石英ファイバー中を伝播させ,周波数分散後にスペクトルの中心部,波長幅約15nmをフィルタリングし,平衡ホモダイン検波によってFano因子を計測した。その結果,正常分散波長域にもかかわらず,最大-1.9±0.3dBのスクイージングを検出できた。 続いて,波長820nm近傍で零分散特性をしめすPCFを用いて上記と同じ実験を行った。今回は,零分散波長近傍の810nmにおいて実験を行った。850nmよりも長波長側あるいは750nm-850nm帯をフィルタリングすることでそれぞれ-3.5dB,-4.6dBのスクイージングが達成された。これは,スペクトルフィルタリング法においては報告されている中で過去最大のスクイージング量である。 ファイバー入射側に周波数域制御による波形整形器を設け,Fano因子が最大になるようにSimulated Annealingアルゴリズムを用いて閉ループ適応制御した。その結果,2つの実験上での問題点が明らかになった.まず,ピクセル型空間光変調器による波形整形においては,変調器における回折効果によって,意図しない強度変調が起こり部分的に入射スペクトルがシャープなフィルタリングを受け,最適化アルゴリズムにおける系の収束を阻害していることが判明した。もとの光子数スクイージングレベルが高ければ最適化自体は原理的に可能であるが,PCFを用いた実験にこの制御法を用いた場合,PCFファイバーが偏波保存型ではないために,平衡ホモダイン検波自体ができなくなるという現象に遭遇した。来年度は,偏波保存型PCFを用い,また通常の石英ファイバーを1.5μm帯で使うことによって,手適応制御による量子相関制御を実現する予定である。
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