研究概要 |
波長1.5μmと800nmにおいて光子数スクイージング実験を行なった。 1.Erファイバーレーザを光源として,スタンダードな石英ファイバーの異常分散域において,スペクトルフィルタリングによる光子数スクイージング実験を行った。ファイバー長9m,繰り返し周波数45MHz,平均パワー2mWのパルスを伝播させ,スペクトルを部分的にフィルタリングすることで顕著な雑音低減が得られた。しかし,Erファイバーレーザは増幅器のASE成分によると思われる雑音が大きく,コヒーレント状態が劣化しているため,ショットノイズ以下への雑音低減は実現できなかった。そこで,スペクトルフィルタリング後に減光板で損失を与えることで雑音低減を劣化させ,その低減の大きさからスクイージング量を見積もる間接的な手法を考案して実験を行った。その場合,最大-3.06dBの光子数スクイージングが見積もられた。この見積もり法を用いて,ファイバー入射波形の位相特性およびスペクトル形状とスクイージング度の関係を詳細に調べ,適応制御による量子相関制御の可能性を確認した。 2.Ti:サファイアレーザを光源として,偏波保存単一モード・フォトニッククリスタルファイバーの0分散近傍において,スペクトルフィルタリングによる光子数スクイージング実験を行った。ファイバー長0.1m,繰り返し周波数80MHz,平均パワー10mWのパルスを伝播させ,スペクトルを部分的にフィルタリングすることで顕著な雑音低減が得られた。ファイバー非線型性によって広帯域化したスペクトル内での複雑な量子相関特性が実測でき,最大-4.5dBの光子数スクイージングが得られた。従来,ラマン過程は量子相関形成には障害となることが示唆されていたが,本実験で,Stokes, anti-Stokes間の負の量子相関等が観測されたことから,量子シュレーディンガー方程式を数値解析して,ラマン過程が顕著な場合の量子相関形成について解析を行ない,新しい知見が得られた。
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