研究概要 |
本研究の目的は、コンピューティングデバイスやネットワークリンクが多様化,遍在化する環境において,移動するユーザが所望のサービスをユーザの環境に最適な形態で享受しえる情報インフラを構築することである.今年度は,サービス切り替えの自由度をユーザに与えるセッション層モビリティサポート機構を開発しプロトタイプの構築,ならびにサービスハンドオフ機構実現のための基礎的検討を行った. 1.セッション層モビリティサポート機構の開発 サービスハンドオフ機構やパーソナルグリッド機構におけるリソース間のモビリティを実現するために,セッション層におけるモビリティサポート技術の開発を行った.セッション層モビリティサポート技術は,柔軟なサービスを連続して提供するために,ネットワークアドレスやアプリケーションの変化をセッション層において吸収する技術である.新たに開発したセッション層では,サービスをセッションIDにより識別し,各セッションIDにネットワークアドレスとアプリケーション情報の対応付けを行っている.また,本モビリティサポート機構のプロトタイプを作成することにより,モビリティサポートプロトコルを検証し,そのプロトコルの動作を確認した. 2.サービスハンオフ機構とパーソナルメッシュ機構の基礎的検討 現在の多くのネットワークサービスは,サービス・デバイス・リンクが固定的である.今年度は,様々なサービス・デバイス(端末)・リンクがユーザの周辺あるいはネットワーク上に遍在し,その中でユーザの嗜好や刻々と変化する周辺環境(コンテキスト)に応じて適切なものを選択するためのコンテキスト情報の収集に関する検討を行った.特にリンクの切り替えの判断指標を取得するために,現在急速に普及しているIEEE802.11bの電波強度測定ソフトウエアを開発した.また,ユーザのコンテキスト情報として位置情報を利用可能にするために,位置取得システムを新たに開発した. 3.コンテキストアウェアモバイルインターネットテストベッドの構築 コンテキストアウェアモバイルインターネットアーキテクチャコンセプトを実証するためのテストベッドを構築した.初年度は,本テストベッド上で,セッション層モビリティサポート機構の動作確認,無線LANの電波強度測定ソフトウエアの動作検証,および位置情報システムの動作検証を行った.
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