研究概要 |
本研究は、近年の発展がめざましいWDM(Wavelength Division Multiplexing)技術を用いて、全光技術によるネットワークを実現するフォトニックネットワークとして、1,000波を越える超多重WDMネットワークを実現する上で要となる広帯域の波長変換技術を主体に、ネットワーク構成の新しいアーキテクチャの提案も含む内容である。 超多重WDMで想定する波長帯域は、光通信波長域として認識されている1,260nm〜1,675nmの400nmを越える波長帯域であり、この領域で任意の波長を利用していくために、従来の波長変換で達成されている波長幅(約40nm)の約10倍を実現出来る可能性のある方法を考案した。その1つは、フォトニック結晶を用いる方法であり、もう1つはSOA(Semiconductor Optical Amplifier)を用いる方法である。フォトニック結晶を用いる方法については、従来の10〜100倍の非線形係数をもつ光ファイバの可能性があること、その分散特性の波長依存性の設計自由度が大きいこと、などの特徴を活かしてFWM(Four Wave Mixing)効果による広帯域の波長変換の可能性を理論的、実験的に探った。また、SOAを用いる方法では、中心波長の異なる複数のSOAを従属接続する構造によって、1つのSOAでの波長変換幅Wcの従属接続段数(n)倍のn・Wcの波長域の波長変換を実現するものである。この方法について、2段のSOA波長変換回路を構成し、実験的にこの手法により広帯域の波長変換が実現できることを示した。
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