研究概要 |
エンドポイントアドミッション・コントロール(EMBAC : End-to-end Measurement Based Admission Control)では,エンドツーエンドでのプローブフロー(試験フロー)を用いたネットワーク負荷測定を使用し接続判断を行う。各エンドポイントでは発呼時に数秒間,送信相手とプローブフローを送受信する。中間ネットワークが混雑している場合にはプローブパケットは破棄される。エンドポイントでは,このプローブパケット損失率をあらかじめ与えられた閾値を比較し接続判断を行う。EMBACをVoIPネットワーク適用することを前提として、高性能のアドミッション・コントロール方式の実現とネットワーク設計法の確立をめざし,シミュレーションと実験により研究を推進した。主な結果は次の通りである。 (1)プローブフローの音声フローへの影響を低減させるための優先制御の必要性を示すと共に,プローブパケット損失率が閾値以下であっても一定の割合で接続可能とする確率方式により,過制御を防止し,性能を大幅に向上できることを示した。また,エンドツーエンドの品質条件(呼損率とパケット損失率)を各リンクに配分し,網内で最も高負荷なリンクに注目し,閾値を決定し,その閾値を用いて他のリンクも設計る方法を提案すし,有効であることを示した。 (2)VOCAL(SIPサーバ)及びLinphone(ソフトフォン)というオープンソースソフトウェアを用いて実際に通話が行えるVoIP実験システムを構築した。また,LinphoneにEMBACの基本機能を実装した。EMBACを実装したLinphoneが実験ネットワーク上に正常に動作することを確認した。通信・音声品質評価を行い,EMBACの有効性を確認した。
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