研究概要 |
本研究では,様々な無線サービスをIPネットワークを通じて提供するWireless over IP(WoIP)システムとその上でユーザの希望する品質・速度や無線伝送路の状況に適応して知的に周波数資源を分配制御するワイヤレスエージェントシステムの実現を目的としている.そこでは,マイクロ波ホトニクス仮想電波空間ネットワークを用いて電波干渉を抑圧しながら様々な電波の共存を許容させ,ワイヤレスエージェント技術がレイヤ7ルーティングによってサービス・場所に依存しない周波数と電波形式の運用を行ってユーザ主導で様々な無線サービスをIPネットワークを用いて柔軟に提供する. 本年度は,マイクロ波ホトニクス仮想電波空間ネットワークにおける電波空間多重アクセス方式として提案している直接光スイッチング方式について,基礎伝送実験装置を用いて,電波の光CDMAによる伝送実験を行い,使用する光スイッチにおける消光比劣化の影響について理論的・実験的に評価し,その劣化に耐性のある拡散符号形式を提案した.また,またRoFリンクの非線形性抑圧技術としてSCMコヒーレント光FMRoF方式の有効性を理論的に明らかにした.また,遍在アンテナシステムにおいて移動端末側に信号処理を必要としないプリ重み付け同一周波数空間分割多元接続方式を提案し,シミュレーションによりその有効性を明らかにした. また,レイヤ7で情報内容の把握と操作を行って,電波周波数を含む無線伝送パラメータのユーザの意志・状況に整合した適応制御を最適に行うワイヤレスエージェントシステムとして,無線webプリフェッチ技術,ユーザの移動速度や通信エリアの滞在時間に応じて情報の中身の操作と無線伝送パラメータ(通信速度,変調多値数,誤り制御能力)の適応制御の両方を最適に行う手法を検討した.ここでは,TCP/UDPサービスクラスの区別,テキスト,静止画,動画など異なるQoSを要求するアプリケーションの混在に対して無線伝送方式を適応的に切替える電波エージェント機能の検討を行った.
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