本研究ではディジタル放送の特長であるインタラクティブな放送を実現するために、サッカー中継を例に取り上げ、視聴者の意図に適合した視点からの映像を自動的に生成するシステムを開発することをめざしている。本年度の研究実績は次の通りである。 (1)多視点撮影環境の構築 複数の解析用の固定カメラをサッカーフィールド全体に取り囲むように設置し、放送用カメラを経験により適切とされる位置に固定して設置し、試合を撮影するシステムを構築した。撮影された複数の動画像をディジタイズ、カメラごとのボールおよび選手の追跡処理を行った。さらに各カメラの結果を統合してボールおよび選手の軌跡の解析、最適視点の決定、放送カメラの制御を行った。また、サーバマシンに実証実験のためのデータを蓄積した。 (2)サッカーの多視点画像列からの選手およびボールの検出と追跡 フレーム毎に背景差分に基づいたフィールド上の選手の検出、テンプレートマッチングを用いたボールの検出を行い、それらのフレーム間の追跡を行い軌跡を求めた。 (3)オクルージョンによる誤りの回避アルゴリズムの開発 選手同士のオクルージョンが発生した場合に複数のカメラから画像情報および3次元情報を統合して協調的にボールおよび選手の位置を推測しロバストな追跡を行う手法を開発した。 (4)最適視点の決定 ボールおよび選手の追跡情報を評価対象としてそのシーンに最適な視点の放送用カメラを選択する手法を開発した。
|