研究概要 |
初年度にあたる今期は,以下の3点について取り組んだ。 (1)知的エージェント集団の創発的知能に関する基礎理論の確立 自律行動の基礎技術である強化学習について,実環境に近い部分マルコフ過程タスクに効果的な、新しい手法を開発した。また,モジュール構造型のエージェントにおける効率的な学習方法と,創発的な形態形成メカニズムに関して,基礎理論上での新たな展開を得た。 (2)知的エージェント集団理論を応用した「知的車椅子群システム」の概念・システム仕様,及びハードウェア設計 知的車椅子が具備すべき諸機能を「自律」「協調」「協同」という個別の役割に分解し,これらが独立に動作するとともに,互い調停し合うシステムアーキテクチャを仕様に取り込んだ。一方ハードウェアの設計として,電動車椅子を改造し,専用のドライバを開発することで.後述のシミュレータシステムとのシームレスな結合が可能な研究環境の構築に成功した。 (3)知的車椅子群システムにおける進化・学習・創発実験に利用するシミュレータシステムの開発 実機での学習・進化・創発実験に伴う負荷を軽減するためのコンピュータシミュレーションシステムを開発した。クライアントに相当するエージェントの設計を容易にするために,専用フレームワークを別途開発した。これらの実装により,効率的な実験環境の構築に成功した. 以上3点の研究により,今年度は,論文4件,国際会議3件,講演発表1件,図書1件の成果を上げることができた。
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