研究概要 |
本研究の目的は,プレーナ形励磁コイルと高感度巨大磁気抵抗素子(GMR)による複合うず電流探傷(ECT)プローブを用いた高密度プリント配線の性状検査法を開発して,電子機器の高密度実装化の進展に貢献することである。プリント配線検査におけるECT技術を用いた検査機器は未だ見受けられなく,主流である画像検査による方法と比較して,うず電流によるプリント配線導体の導電性そのものの検査をするのが特徴である。 (1)マルチGMRセンサの設計製作と特性把握 2素子からなるスピンバルブ形巨大磁気抵抗効果素子(SV-GMR)1種類と4素子を直線状にアレー化したセンサの2形式,3種類を製作した。前者のサイズは180μm四方,後者は1素子のサイズは,50,100μmあり,前者の感度は約0.2mV/μT,周波数特性1.0MHzまで計測した。また,後者については,感度は0.11mV/μTであり,サイズのインダクチブセンサに比較して,感度は40dB近く大きくなることを明らかにした。 (2)GMR+プレーナ形コイル複合ECTプローブの製作とプリント基板検査 高周波励磁コイルとSV-GMRを検出センサとしたGMR+プレーナ形コイル複合プローブを製作して,プリント基板検査に対する特性を測定した。前者のSV-GMR素子による特性と昨年までのソレノイド形ECTプローブと比較した結果,100-400μm幅のモデルプリント基板での実験結果から最大15dBのSN比の改善がなされていることが明らかになった。2次元画像からは,明確にPCB上の断線が明瞭に確認でき,100μm以下の細線の検査への適用の可能性を得た。 (3)GMRセンサ信号の画像処理による異常部分の抽出ソフトウエアシステムの構築 導体としては不均一なプリント配線より得られる2次元検出信号イメージから,傷信号を抽出する信号処理ソフトウエアを試作した。100-300μm幅のプリント配線の断線に対する実験結果は,明確に傷部分の抽出ができた。今後,プリント基板パターンの配線イメージからの信号を取り除く処理を加えた画像処理ソフトを完成させる。
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