研究概要 |
本研究の目的は,プレーナ形励磁コイルと高感度巨大磁気抵抗素子(SV-GMR)によるうず電流探傷(ECT)プローブを用いた高密度プリント配線の性状検査法を開発して,電子機器の高密度実装化の進展に貢献することである。プリント配線検査におけるECT技術を用いた検査機器は本研究の独創的なアイデアであり,主流である画像検査による方法と比較して,うず電流によるプリント配線導体の断線,短絡のみならずその他の導電性性状の検査が可能であることが特徴である。 (1)マルチGMR付ECTプローブの製作と特性把握 4素子を直線状にアレー化したセンサの2種類を用いて,プリント配線検査用のECTプローブとしてのアライメントを行った。1素子のサイズは,50,100μmあり,周波数特性20MHzまでの計測に適用し,感度は110μV/μTであった。 (2)ECTプローブによるプリント基板検査試験 前者のSV-GMR素子により,高密度配線として70-100μm幅,厚み90μmのモデルプリント基板で計測した結果,断線,20%までの欠け傷,50%厚み欠陥に対して検出可能であることを実験により明らかになった。100μm以下の細線の検査への適用の可能性が明確になった。 (3)画像処理による欠陥部分抽出システムの製作 導体としては不均一なプリント配線より得られる2次元検出信号イメージから,傷信号を抽出する信号処理ソフトウエアを試作した。今年度は処理速度の高速化のため,空間微分とメデアンフィルタによる欠陥部分抽出プログラムを適用し,欠陥の2次元イメージが得られた。 (4)査装置製造企業との技術交流 うず電流探傷(ECT)プローブを用いた高密度プリント配線検査システムの構築を目指して,GMR素子メーカ,ECT技術専門メーカ,それとプリント基板検査機器製造メーカと技術交流を図り,技術移転,企業間の交流を試み,今後の企業化のための情報交換を行った。
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